Floating Colors 制作ドキュメント

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トラックダウンとマスタリング

トラックダウンとマスタリング

Track dowm : 2001/11/30,12/1,3~8,10,11
Mastering : 12/25~27

マジックノーツ・レーベルは次世代オーディオ(DVDオーディオなど)への対応を考慮した作品作りも大きな特徴で、最新録音機器を使ったハイスペックなレコーディングが行われました。このアルバムは高音質への取り組みという点でも注目すべき側面を持っているのです。

レコーディング後のTD(Track down)は、2001/11/30より始まりました。 現時点での究極の高音質を目指し、レコーディングを24ビット/48kHzのPro Toolsシステムで行ったあと、96kHz/24bit、192kHz/24bitのハイ・サンプリング・レートおよび、1ビット録音による非常に情報量の多いマスターを制作することによって、楽器の生々しい表情、みずみずしい空気感を余すところなくCDに収めています。

なお、3タイプのマスター・テープは全曲において制作され、それらすべてをスタッフ関係者全員でシビアに聴き比べて最終的に使うフォーマットを決定していきました。だから、TDもほぼ1日1曲ペースで10日近くもかかってしまったわけです。

またマスタリングは2001/12/25より3日間、これも周到に行われました。再度、細かな音作りを行いましたが、演奏上の自然なダイナミクスを最大限生かすために、コンプレッサーはほとんど使っておりません。また、再度、曲ごとに3タイプのマスターを聴き直し、最適なフォーマットを選んでいきました。マスタリングは最後の最後の仕上げなので、クリスマスも返上し、笹路氏もつきっきりでした。

ちなみに、これだけハイ・スペックなフォーマットであっても、最終的にはCDの仕様である44.1kHz/16bitに落とし込まなければなりません。ここがマスタリングの難しさでもあります。これらのマスターの音を聴いてしまうと、今のCDのフォーマットはもう限界にきていると実感しました。しかし、当然、これらマスターの情報量の多さは、CDのフォーマットに落とし込んでも、しっかりとそれぞれの特徴が残ります。

とにかく、 このCDは音がものすごく良いのです! こんな素晴らしい環境で、音質で、自分の作品が作れたのは本当に幸せです。楽曲ごとのファーマットの内訳は、以後示しますが、それぞれの微妙な空気感の違いを感じ取るのも、アルバムの楽しみ方のひとつになるでしょう。

川上真一氏レコーディングに引き続き、ミキシング・エンジニアを務めてくれたのは川上真一くん。シンプルな編成を曲に応じて音楽的に音をまとめ上げるのは、かなりの技術・センスを要するのは言うまでもありません。音楽をよく知っているし、アイディアも素晴らしいです。彼のレコーディング/ミキシングしたピアノの音も弦の音も、もう言うことナシです。なお、TDはすべてコロムビア赤坂スタジオの4stで行いました。ちなみにデジタル・リバーブは1台のみで、あとは少しだけ鉄板(EMT-140)を使った程度なのですが、全体のエコー/リバーブ感の効かせ方は絶妙です。
NAGRA デジタルレコーダー右が日本に3台しかないというNAGRA : DIGITAL 。96kHz/24bitのデジタル・レコーダーです。NAGRAはスイスのメーカーで、アナログのテープ・レコーダーなどを作っていました。見た目もアナログっぽさが踏襲されていますが、音の方もデジタル臭くないあたたかい音が特徴です。強いアタックの追従性などはイマイチなのですが、ある意味でとても音楽的な音がします。「朝霧」と「Marshmallow Pillow」は、このフォーマットのマスターを使用しました。曲のムードにピッタリとマッチしました。
機材たち左が192kHz/24bitのシステムです。一番下にあるレコーダーは8トラックのTASCAM DA-78HRで、全トラックを使って2ミックスの音を録音していきます。 また、上からTASCAMのデジタル・オーディオ・インターフェイスIF-AE8HR、D/AコンバーターdCS954、オリジナルの192kHz D/Aコンバーター、A/DコンバータdCS904という構成です。192kHzは、現時点でコンバーターの選択が限られてしまうという点からも、まだ発展途上なのですが、アタックのスピード感は抜群で、原音に一番忠実な印象を持ちます。これからの主流になる可能性大と言えるでしょう。「月の光」「VARI DANCE」「One Night」「エイプリルフール」がこのマスターを使っています。
機材たち右が1ビットのシステムです。レコーダーはTASCAM DA-98で、これも8Trすべて使って2ミックスを録音していきます。1ビットΔΣコンバーターADA-00はオリジナル製のものです。1ビットは、空気感や奥行き感が素晴らしく、音の分離度も最高です。ピアノのみずみずしい感じやリバーブもとてもきれいに聴こえました。とにかく今のCDとは較べようもなく、充実した音がします。「Time and Air」「Invisible Palette」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「エメラルドの波紋~Next Story」がこのマスターを使っています。
バースデーTD初日は、僕の誕生日でもあったもので、スタジオ内でみなさんから祝っていただきました。TDまでくるとひと山超えた気分ですが、かなり丁寧に時間をかけて進めていきました。左から笹路正徳師匠、僕の隣にはディレクション等で大変お世話になっている宮城純子さん。後方、左からアシスタント・エンジニアの二本柳竜彦氏、レコーディング・アシスタントの渡部大介氏(ハートミュージック)、エンジニアの川上真一氏、ハートミュージックの本木奈保美さん、同じく大沼弘子さんです。でみなさんプロジェクトに対する結束が強く、ファミリーな雰囲気な中にも音楽に対して真剣で、そこからも多くものを学ぶことができました。みなさんにはとても感謝しています。なお、モトミュ-ジックからは、谷賢史がレコーディング・アシスタントで参加しています。
毛利篤氏マスタリング・エンジニアの毛利篤氏。年末の3日間のマスタリング作業でしたが、毛利氏の献身的ともいえる仕事っぷりはとても感激しました。マスタリングはコロムビアの2マスタリング・ルームで行いました。マスタリングのシステムはスタジオ・オリジナルのシステムで、定番的なSONIC SOLUTIONSのシステムは使っておりません。
最後の「エイプリルフール」が仕上がったときは、一挙にこの作品に傾けた長い日々を思い返し、ジーンとこみ上げるものがありました(笑)。

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