Foresight 制作ドキュメント

バンド・レコーディング~その1

バンド・レコーディング~その1

2003/7/20(日)、MOTO MUSIC STUDIOで最初のレコーディングがスタートしました。この日は矢堀孝一(g)、菅沼孝三(ds)、永井敏己(b)の各氏とのリズム・レコーディング。みんな忙しいから日程を合わせるのがとても大変でした。当日は孝三さんが小松空港から朝一番の飛行機でウチのスタジオに向かうというスケジュールで11時頃に到着予定。それに先がけてローディが早朝よりスタジオに到着しセッティングを開始。エンジニアの川上真一氏やスタッフの谷などもすでにレコーディングの準備に取りかかっておりました。永井氏もモチベーションの高さを示すかのごとくかなり早い時間に到着。yaboも少し遅れて昼頃到着。通常よりも早い集合となりました。というのも、このメンバーが集まれる日は7~8月でこの日しかなかったのでした。それもこの日に4曲分(「White Line」「Syaos」「Presto」「Upload」)のリズム・レコーディングを完了させなければならなかったわけです。

しかしいざ集まってみれば、写真のように適度な夏日より、スタジオの外にはバーベキュー仕度のオープンテーブルを用意したもので、すっかりとまったりムード(笑)。ヘタをするばこのまま炭と食材を用意してバーベキュー大会へ突入か…という流れに(笑)。

リラックスこれだけリラックスできたというのも、このメンバーでほぼ一ヶ月前に目黒ブルース・アレイ・ジャパンでライブをやっていたし、またレコーディングの下地となるMIDIデータをあらかじめ僕が作成しておき、ネット経由で送ってあったので、すんなりとレコーディングに入れる準備はみんなできていたと言ってもいいでしょう。

14時頃、レコーディング開始。まずはアルバム同様、「White Line」からレコーディングを始めました。これも、いざやってみれば確か2テイク目でOKテイク。レコーディングの雰囲気はとても良いムードだし、演奏の勢いもあるし、旬を逃がしません。イントロから孝三さんがおもしろい3連フィルを叩いていたので、この段階からストリングス・アレンジのヒントが頭に浮かんできました。各人のソロも煮詰まる前に良い演奏をどんどんパックできて快調に進みます。合間に休憩を挟みつつ、こんな感じで20時頃には「Upload」~「Syaos」と、滞りなく良テイクを収録しておりました。

晩飯後、「Presto」のレコーディング。デモがドラムンベースの打ち込みをベースにしてあったので、打ち込みリズムを生リズムに絡めるかどうかを検討。しかし、ここでも孝三さんが手数王の本領発揮。ユニークなパターン・アイディアを提示してもらい、それを基本にしてリズム・アレンジを固めていきました。もうこうなると打ち込みリズムは不要です。永井氏も僕の打ち込みのシンセ・ベースのラインを置き換えるだけでなく、お得意のスリップ・ビートを巧みに(イヤ自然に・笑)組み込み、すざましいリズム・トラックの完成です。

22時頃、4曲分のリズム・レコーディングが完了しました。いや~おもしろかったです。篠田、yaboはコードやバッキング、メイン・メロディ・ラインなどをみんなで同録したものの、メインはやはりドラムとベースのレコーディングとなったわけですが、実にみんなスマートかつワイルドに演奏してくれました。大半の曲はこのメンバーを想定して書いた曲なので、求めているものが明確だったというのもありますが、みんな積極的にアイディアを出してくれるし、僕の曲の世界を大きく広げてくれたと言ってもいいでしょう。

ちなみに、孝三さんのドラム・セットがすざましいこともあって、レコーディングに使用したトラック数はリズム系だけでもかなり使うことになりましたが、エンジニアの川上氏の絶妙なマイキングなどによって、かなり高音質でレコーディングできました。NUENDOの性能の高さなどもこの日のレコーディングで十分確認できました。

スタジオ占拠ご覧のように、モトミュージック・スタジオのブースの半分は占有してしまうほどの巨大な孝三セット。使用マイクは、ハイハットにAKG C451E、バスドラにSENNHEISER MD-421、スネアにSHURE SM-57、タム類にAKG C414EB、シンバルにRODE NT2などなど17本に及びました。
菅沼孝三氏早朝より小松空港からスタジオに到着したものの、終始笑顔でギャグネタ連発しつつ、ハイ・レベルなドラミングを披露。いろんな要望にも即座に応えてくれるし、アイディアも豊富だし、本作における孝三氏の貢献度はかなり高いものでした。
矢堀孝一氏レコーディングは1st『PIVOT』以来。ギターのダビングは一部、yabo邸スタジオに後日お邪魔させてもらい、じっくりとレコーディングしています。今回もワイルドでスピード感の高いギターをたっぷりと弾いてくれました。
永井敏己氏あくまでも4弦ベースにこだわるスーパー・ベーシスト。すざましいリズム感覚には圧倒させられっぱなしです。孝三氏とのスリップ・ビートは本当にスゴイです。こちらはクリックを頼り演奏するしかありません(笑)。個人的にも今度は永井氏の曲を演奏してみたいと思っております。
川上真一氏「いゃ~、今日のレコーディングは大変だ~」。初のNUENDOによるリズム録音、それに慣れない環境にも関わらず、最高の音でレコーディングしてくれたエンジニアの川上真一氏。ちなみに前作『Floating Colors』を手掛けたものも彼です。僕が厚い信頼をよせているエンジニアです。
谷賢史氏もはやスタッフ歴5年になる谷 賢史。本作でもアシスタント・エンジニアにとどまらず、デジタル系のテクニカル・オペレーターとして活躍。川上氏とがっちり連携をとってくれました。NUENDOは完全にマスターしている頼もしいヤツです。
中田利樹氏夕刻頃、クール・レーベル主宰、中田利樹氏が顔を出してくれました。レコーディング済みの曲を何曲か聴いてもらい、満足気のご様子だったので一安心です。このときに限らず大半のレコーディングにも足を運んでくれました。いろいろ細かいことに気を配ってくれるし、この方のレーベルでアルバムが出せて本当にラッキーでした。
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